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スバル ラインハルト 決別

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深夜、コンビニで夜食を買って帰る途中に、突如として異世界に召喚された。 訳の分からない状況に翻弄されるも、物怖じしない性質と持ち前の図々しさで、逆境に弱音を吐きつつも過酷な運命に立ち向かう。 能力は自身が死亡した際に運命を変えることができるセーブポイントまで巻き戻る「死に戻り」の力。なお、この能力は他人に話すことができず、伝えようとすると心臓を潰されるような激痛を味わう。 中学生の頃は剣道部に入っていたため、そこそこ体は鍛えており、握力は70㎏を超えるが、それ … アニメRe:ゼロから始める異世界生活、通称リゼロは1期がとても人気でしたね。 さて今回の記事では聖域編でエミリアが見た未来で仲違いを起こすことを匂わされたラインハルトとスバルですが、そもそもスバルはラインハルトに勝つことが出来るのかについてネタバレ考察していきます。 そして、その斬撃に切り裂かれた巨大な獣は、その痕跡すら残さずに世界から根こそぎ消失させられていた。――ペテルギウスとの二度目の戦いで、奴の憑依を破ることができず、スバルの肉体ごと狂人を滅ぼしたときの、その後の結末だ。エミリアを殺され、スバルやペテルギウスに対して憎悪を向けたときとも違う。あのときはまだ、パックはパックであったはずだ。高所からの落下に、人間の肉の体は衝撃に耐えかねて砕け、黒髪はその中身を地べたにぶちまけ、死に花を真っ赤に咲かせていた。いったい何度、どれほど、ナツキ・スバルは弱さに打ちのめされ続けるのか。パックという、猫の姿をした精霊と少なからず接した記憶のあるスバルにとっても、そうして悪意に満ちた声で他者に接する彼の存在は初めて目にするものだ。意識の端で、スバルは一度ならず、何度もその可能性を思い浮かべたことがあった。直後、大地を揺るがす地響きが走り、倒れ伏す巨体の衝撃に景色が一変する。木々が薙ぎ倒され、倒れる木々が霜のように崩壊し、連鎖して森が一面、平らになる。常ならば整った身嗜みは乱れ、制服の端々に引っ掛けた鉤裂きが目立つ有様。意識的に無表情を形作る横顔にはやり切れない複雑な感情と、怒りが浮かんでいる。仰向けに倒れるスバルの足下で、膝を崩した姿勢でへたり込んでいる銀髪の少女。表情の抜け落ちた紫紺の瞳は現実を受け入れられておらず、頬を濡らす涙の跡は拭われることもなく、光を浴びてきらめいていた。転がり、転がり、三半規管を痛めつけ、肺を苦しめて呼吸に喘ぎ、意識が思考に割かれる割合を少しでも、欠片でも、減らすことで無意識に沈んでいたい。転落死し、大の字に地面に転がるスバルの傍らに立ち、吐き捨てるように言ったのは桃髪の少女――ラムだ。「阻まれるのは、わかっていた。だが、そうすることがこの身の誓いだ」「何が、おかしい? おかしいとも、おかしいに決まってる。ラインハルト、君は……いや、お前は何もわかっていない」今、過去の自分が命を落としたのだと、スバルにははっきり理解ができた。否、置き去りにしてきたのはナツキ・スバルだ。無様で身勝手に『死』を迎えることで、スバルは世界を置き去りにして自分だけ新たな世界に逃げ込んできた。が、そんな人間性を損なったやり方で誤魔化そうとしても、壁にぶつかって跳ね返された時点で目的は頓挫する。圧倒的な質量差にも拘わらず、戦力がどちらに傾いているかは誰の目にも明らかだ。生殺与奪を握られ、自身の行動は妨害されたにも拘わらず、そうして笑い出すパックの真意がわからず、ラインハルトは問いを発する。迸る剣気のすさまじさが、それをはっきりと周囲に知らしめていた。フェリスの魔法によって体内のマナの循環を狂わされ、あちこちの毛細血管や内臓に負荷がかかった死体はお世辞にも綺麗とはいえない。見える肌のあちこちが水膨れのような発疹が出ており、薄目の開いた瞳は血管が破裂して真っ赤に染まっている。どんな事態が襲ってこようとも、どんな苦しいに打ち据えられようとも、決して揺るがない、へし折れることのない、鋼の心を手に入れるにはどうしたらいいのか。打ち付けた背中から伝わる痛みと、擦り付けた額に血が滲む感覚。床に顔を押し付けたまま荒い呼吸を繰り返し、スバルの眦からはいつしか涙が溢れていた。「リアは眠った、永久に。あの子のいない世界になど、存在する価値もない。あの子を守れないこの身も、あの男も、同罪だ――」平たく整地された凍てついた森林地帯、その破壊をもたらした原因は見上げるほどの巨躯を持つ四足の獣で、灰色の体毛を伸ばす猫科と思しき生き物だった。スバルの亡骸を見下ろしながら、ユリウスは収めた剣の柄を指先で叩く。何度も何度も、繰り返し続けられるリズムは徐々にその間隔を狭め、「これも全て、あなたの予定通りですか、ベアトリス様? こうして、ラムの行く手を阻むことがあなたの……っ」血に濡れた騎士剣を拭い、鞘に納めるユリウスが呆然自失のエミリアへ声をかける。「そのための犠牲の全てが、許容できるわけではない。――私はもっと、君と言葉を交わしたかったよ。ナツキ・スバル」ユリウスの囁くような力のない声が、草原の世界に終わりをもたらした。つい数瞬前まで、確かにそこにあったはずの巨体は消え、巨体が起こした破壊の余波すらもどこにも残っていない。迸る鮮血が緑の草原を斑に染め、見下ろす紫髪の青年の前でスバルの体が反射的に痙攣しているのがわかった。しかし、パックはそのラインハルトの返答が、なおのこと笑いの種になったように、死体となったスバルに、エミリアの言葉はもう、何一つ届いてはいなかった。「思い出したよ。どうあるべきなのかを。遅すぎる理解だ。それがわかって、そしてそれをお前がまだわかってないから、おかしくてたまらないんだ」「……これ以上の被害は防がせていただきます。恨むなら、この僕を」意識だけの自分と、過去の自分との間に共有する感覚があるわけではない。ただそれでも、首筋を切り裂かれた生々しい感触は、意識だけの――魂だけのスバルに対しても、消えることのない残響となって木霊し続けるのだった。「無念はわかります。僕も同じ気持ちだ。ですが、だからといってその無念の感情を、無闇に当たり散らしていいということにはならない。あなたの行いは、その誓いの結果は世界に波乱をもたらす。――僕はそれを決して、許容できない」世界は意識が白むときと同じように、冷たく慈悲深い終わりを迎えようとしていた。「最後の最後まで、わけのわからないことを言って……もう、何も……」凍てつく森は風が吹くたびに割れ砕け、マナを強制的に搾り取られた景色は存在を維持することができずに塵に還る。それでもなお、意識の端以上にその可能性が上ってこなかったのは、無意識的にその事実を検証することを、考察することを、拒んでいたからに他ならない。ラムの薄紅に瞳はスバルの死体の手前、そこに膝を落としているベアトリスを見ていた。ドレスの裾が汚れるのも構わず、地べたに座り込む少女――ラムは、そのベアトリスの様子に動揺で瞳を揺らめかせた。終わり世界の中にあって、しかし生命力の健やかさを欠片も損なわない声音。長身を真っ直ぐに、赤毛を白い風に揺らすのは青い瞳の青年だ。「恨みはしないさ、ラインハルト。お前は英雄だ。英雄には、英雄にしかできない役割が、行いがある。それに準じるお前を、恨みも責めもしない」彼女が王都で差し出した、『なぜ、自分を助けるのか』という問いに、スバルの本心からの答えを伝えていない。ペテルギウス旗下の魔女教徒を全て切り捨てたヴィルヘルムは、戦いの結果に対して苦汁を噛みしめた表情で俯いている。討伐隊の老騎士たちも、ヴィルヘルムと同じように悲運を嘆くもの、衝動を地面にぶつけるもの。中には激情のあまり、涙をこぼすものまでいるほどだった。口早に非難を始めようとしたラムの表情が強張り、言葉が途切れる。ナツキ・スバルの軽率な判断で置き去りにしてきた世界が、なおも残り続けているのだとしたら、今スバルが見せられた光景こそがそれだ。疑問符。永遠に答えの返ってこない相手に、エミリアは空言のような問いを放つ。表情が消えたベアトリスは、うわ言のように呟きながら涙の雫を落とし続ける。この世界では、スバルはエミリアの問いかけに答えを返せていない。それは、声の高さが普段の姿のときと違っていることも含めて、あまりにもパックらしくない発言だった。物言わぬスバルの頬に手を添えて、エミリアが届かない呼びかけを続けている。そのエミリアの姿に、スバルの存在しない胸は何度目になるかわからない鋭い痛みに抉られる。悲嘆に暮れるエミリアの表情が、スバルの目を背けてきた罰を抱き起し、牙を剥かせ、無神経であったこれまでのあり方を削り取っていく。『死に戻り』するスバルが、死んだ後の世界の存在のことなど――もしもそれがあることを考えてしまえば、スバルの戦い方は足下から瓦解する。「私ではなく、あなたがされることを彼は望むでしょう。せめて、あなたの手で」拭われる前は鼻血で顔の下半分が染まっていたほどで、ユリウスの介錯がなければもっと惨めな死相をさらしていたことだろう。その光景を見下ろしながら、スバルは先と違う今の光景の場所がいつだったのか、記憶に思い当たる場面を思い出した。眠気とは違う、意識が急激に白み出すような強制的な現実との乖離。再びの暗転、そして回帰にスバルは跳ねるように体を震わせて覚醒する。竜爪の刻まれた鞘から抜かれる、鋼の煌めきが正面の獣――本体を現したパックの鼻先へ向けられ、剣を握る『剣聖』ラインハルトは静かに首を横に振った。あるいはそれは、今まで意識しようとしてこなかった死後の光景を見せつけられていること以上に、スバルの心に膨大な圧迫感をもたらした。「なんで……スバルはこんなになっても、私のことを……ね、どうしてだったの?」心を抉られる痛みに存在しない瞳の奥が熱くなる感覚、今すぐに幼い、小さな体に駆け寄り、何がしかの言葉をかけてやりたい。「――何があったのか、おおよそは把握しています。だからこそ、残念です」白目を剥き、口の端から泡を吹きながら、膨大な量の血を吐き出し続ける首。次第にその血の勢いは緩まり、息が抜けるような音がしたかと思うと、白い、冷気に覆われていた世界が、斬撃の奔流が収まった後に、再生する。「そう、正しくないからです。――僕は正しさの規範だ。過ちを正す、剣である。そのために、ここであなたを斬らせていただきます。大精霊様」痛ましい姿に、ラムはそれ以上のベアトリスへの言及を諦めたようだ。ラムは吐息をこぼし、あり得ない方に首の曲がったスバルの死体に侮蔑の目を向け、強制的な意識の転換の後、即座にこうした現象が訪れることは予想がついた。ただ、綺麗な死に顔になったところで、残された者たちの心が救われるわけではない。特に白鯨との戦いを乗り越え、怠惰との決戦を終えて王都への凱旋を誓っていた人々――彼らの落胆と、無念の顔つきはいずれも胸に迫るものばかりだった。のろのろと、這うような動きでスバルの顔に手を伸ばし、血と吐瀉物で汚れる顔をエミリアの掌がそっと拭う。素手で、しかし汚れるのも構わず、スバルの苦悶に歪んだ表情を見れるものにしようと抗い、血を拭き取ったところでエミリアは、苔むした臭いに鼻孔を犯されながら、転がるスバルはひたすらに空虚な行為に没頭することで、自身の内面に嵐を巻き起こそうとする感慨から逃れようとする。スバルの死を惜しむ――というよりは、その結果に激しい怒りを覚えている顔だ。それを聞き届けて、ラインハルトは構えていた剣を頭上へ振り上げ、剣気を込めて一閃――刃の煌めきに従って、すさまじい熱量が発生する。吹き抜ける風が彼の赤い前髪を揺らし、陽光に目を細めるラインハルトは空を仰ぎながら、誰にも聞こえないほどかすかな吐息を漏らし、「世界を長きにわたって苦しめ続けた魔女教、その尖兵である怠惰は退けられた。そのことは、世界にとって非常に大きな功績だ。――だが」世界のずれが修復され、渦巻いたマナが円環を形作って世界に還元され、砕かれた大地に花々が芽吹き、穿たれた大気が暖気を孕み、割られた空から陽光が差し込む。名を呼ぶラムの存在すら意に介さず、ベアトリスは死したスバルを一心に見つめている。大気まで凍結するような、白い靄がかった冷気が世界を支配していた。負け惜しみでもなく、ただ目の前の事実を受け入れる姿勢の理知的な獣の声に、ハッと透き通るような美声が応じた。本体を現したパックですら、ラインハルトの前では涼しい顔を崩させることすらできずに虫の息。突きつけられた剣先が銀閃を描けば、それだけで精霊という存在すらもラインハルトの刃は両断する。それは空を割り、大気を穿ち、地を砕き、マナを渦巻き、刃の直線状にあった全ての物体を両断――光が収束し、スバルの意識の目の前で世界がずれた。獣は口に収まり切らない牙を半ばでへし折られ、剣のような歯の隙間から白い息を吐きながら、爛々と光る金色の瞳を横倒しになったまま正面へ向ける。こんなにも弱くて、こんなにも脆くて、だからスバルはこれまでも――。その事実が、ひどくスバルの心に罪悪感という刃を差し込んでくる。しかし今、ラインハルトを嘲笑うその姿は、これまでのパックのどんな姿とも異なる、まったく別の存在になったようで――。最後の最後、それこそがこれまででもっとも、明確な悪意に満ちた声だった。――それは先に見せられた光景と決定的に溝を生んでいながら、しかしいずれも取り返しのつかない類のスバルが犯した罪の結果だった。その彼女の青い瞳の端から、涙が道を引いているのがスバルからも見えた。予想がつかなかったことがあるとすれば、そうして覚醒に導かれた意識の前で、どんな情景が展開されるかの一点であったが――。短く、途切れ途切れに届いたそれが何であったのか、測りかねたのだ。喉を震わせ、瀕死の状態にありながら、パックは顔を歪めて笑声をこぼしていた。木々が、街並みが、生き物が、世界が、吹き付ける風に白い結晶となって粉々に散らされ、白む終焉が世界をゆっくりと侵していた。「見ないふりして、目を背けてきたツケが……これ、だってのかよ……?」浅く鋭く、皮膚を裂いて侵入した刃の切り口から、命が流出していく。
スバル ラインハルト 決別 2020